研究概要 |
前年度までの研究で,粒子形成のメカニズムなどを明らかにしてきた合成手法(芳香族ジアミンと芳香族ジ酸クロライドをアセトンなどの反応溶液中で超音波照射下沈澱重合を行う方法)を応用することによって,官能基(アミノ基,カルボキシル基,水酸基など)を有する芳香族ポリアミド微粒子の作製に取り組んだ。得られた粒子は,ナノ、サブミクロンサイズの単分散性に優れた球状微粒一子であり,それぞれ様々な特性を示した。例えば,アミノ基を有するポリアミド微粒子(粒子径:241nm)は,水中において優れた分散安定性を示した。また,370℃3時間で乾式熱処理することによって,これらはポリベンズイミダゾール微粒子(241nm)へ変化し,さらに1000℃まで上昇させることによって,カーボン微粒子(151nm)へ変化した。これらの過程や様々な熱処理条件に伴うモルフォロジー,熱分解温度や結晶化度の変化も詳細に追跡することによって,微粒子の特性制御に関する知見も得られた。さらに,アミノ基を有するポリアミド微粒子は,アミノ基の反応活性が高いことから,他の化合物による表面修飾にも適していた。例えば,アルキル鎖クロライドによる表面修飾を行った場合,反応溶媒や温度を制御することによって,その導入量も制御可能であった。その結果,各溶媒中での分散安定性も制御できた。一方,水酸基を有するポリアミド微粒子では,粒子径が70nmから1μmにわたる単分散性に優れた微粒子が得られ,その表面モルフォロジーも襞状やフラット状のものなど様々なタイプのものが得られた。これら微粒子は,いずれも水中での分散安定性に優れていたが,その結晶化度は反応条件に依存していた。
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