研究課題/領域番号 |
17760067
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
工学基礎
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 彰洋 京都大学, 情報学研究科, 助教 (50335204)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 行動頻度 / 外国為替市場 / 高精度金融時系列 / スペクトル解析 / スペクトル距離 / エージェントモデル / 確率共鳴(共振) / 高頻度経済時系列 / 動的ネットワーク / ティック頻度 |
研究概要 |
エージェントの情報の知覚から行動に至る過程を心理学で提唱されているSatirの7段階モデルに基づきモデル化し、前年度に提案したN人の市場参加者がM種類の金融商品を交換する金融市場のエージェントモデルを説明能力の高まる方向に拡張した。そして、平成17年度と18年度に実施した実証分析から得られた観測事実と対比しながらモデルの数値分析および理論分析を行い以下の成果を得た: 1、行動頻度のスペクトル分析の結果得られた特徴的周期成分の周波数のグループ構造は市場参加者の情報の知覚と行動に関するグループ構造と関係する可能性がある。 2、エージェントの情報の知覚と行動を決定するパラメータの動的変化に応じて、行動頻度と注文価格の類似度の動的変化が生じており、エージェントのパラーメータ分布形状と行動頻度間の類似性との間の相関関係がある。 3、標準偏差の2倍以上の価格変動が生じうる理由は市場参加者の予測行動と関係する。 4、エージェントモデルの行動頻度と対数収益率に対応する変数に対して、平均場的な縮約近似を行うことによりエージェントのパラメータ変化に起因した時変パラメータを含む時変多変量自己回帰過程(時変VARモデル)を導出した。 エージェント集団に対して、行動頻度の周期的振る舞いの構造および、それらの類似性の時間変化を調べることにより、参加者集団の組織構造および参加者の内部状態を推定できる可能性を示した。このことは、エージェント集団の情報伝達の構造と内部状態を推定する方法として、行動頻度で観測される確率共鳴(共振)現象および行動頻度間の類似性構造を利用することに対する理論的根拠を与えた意義がある。また、本研究成果は、金融市場を含む人間の社会活動を、観測可能な行動の様子を網羅的に収集することにより、個人を特定することなく匿名性の高い状況で定量化・可視化するための基礎技術となり、重要な見地をもたらした。
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