研究概要 |
マイクロ構造複屈折波長板アレイを有するCCDカメラを用いた偏光画像解析により,光弾性縞や干渉縞の位相解析を行う方法を提案した.この方法では従来の位相シフト法と異なり,複数の画像の撮影を必要としないため,時々刻々と変動する問題の解析が可能である事を示した.すなわち,粘弾性問題やき裂進展問題など,時間変動を伴う問題へ適用可能である. 次に,このマイクロ波長板を用いた位相解析法のモアレ干渉法やデジタルホログラフィ干妙法への応用を試みた.その結果,これら光学的手法においても,マイクロ波長板を用いた方法が有効であることを示した. 最後に,マイクロ波長板を用いた光弾性法により,これまで不可能であった熱応力により薄板ガラス中を進展するき裂先端応力場の測定を可能とした.この方法では,一度の撮影により得られた画像から主軸方向およびリターデーションの位相分布を得ることができ,さらに,薄板ガラスに生じる非常に小さい複屈折の測定が可能である事を示した.この方法を用いて蛇行するき裂の応力場を評価し,さらに破壊力学パラメータの時間変動を評価した.その結果,き裂の経路安定性はT応力以外の他の要素に大きく支配されている可能性や,滑らかに進展するき裂においても,モードII応力拡大係数が存在することなどを示した.この方法による結果に加え,理論解析などを行うことにより,今後,熱応力によって進展するき裂のより詳細な議論が可能である.
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