研究概要 |
集光性に優れるシングルモードファイバーレーザを用いた薄板の精密切断加工法を確立することを目的に,本年度は実験装置および溶融金属の除去能力に優れる高性能ノズルの設計,製作を行い,以下のような所見が得られた. 1.シングルモードファイバーレーザから出力されるレーザビームの品質を損ねることなく,加工点において微小スポットに集光できるようなレーザ光照射ヘッドを設計,製作した.本照射ヘッドは集光レンズ中央にレーザ光を導けることから集光性が良好であり,10〜20umのスポットに集光できる.また,ノズル部をレーザ光軸に対して垂直面内で移動できる構造となっており,ノズル中心軸とレーザ光軸の詳細な調整が可能である.さらに,上方より加工部をCCDカメラにて観察できる機構も取り入れており,XY平面の位置決めを容易とした. 2.既存のXYZ-3軸位置決めステージの下に,面調整機構を設置した.これにより,試料面に対するレーザ光軸の角度,およびレーザ光軸方向への試料の位置決めを高精度に行うことができ,再現性の高いレーザ光照射実験が可能となった. 3.溶融金属の除去能力に優れるノズルとして,設計圧力に着目して数種類のラバルスロートノズルを設計,製作した.第1に,ノズルから噴出されるアシストガスの自由噴流形状をシュリーレン法にて観察したところ,いずれのノズルにおいても垂直衝撃波面の存在しない適正膨張流れとなっていることが確認できた.第2に,レーザ加工結果に大きく作用する試料上圧力を測定したところ,ストレートスロートノズルよりもラバルスロートノズルの方が高い試料上圧力が得られた.また,設計圧力を適正とすることで,試料上ガス圧が変動する不安定領域の発生範囲が減少し,より低い供給圧力においても高い試料上ガス圧が得られることが明らかとなった.
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