研究概要 |
血球の干渉と血流の数値シミュレーション 実際の血液のヘマトクリット値は40-50%と非常に高く,赤血球同士が結合してルーロー(連銭)を形成するなど複雑な挙動を示すため,赤血球同士の干渉を表現することは実際の血流を取り扱う上で非常に重要なステップである. 申請者はこれまでに,Bradyらが剛体球の濃厚サスペンションを対象に開発したStokesian Dynamics Simulationの手法を微生物溶液に適用し,ミクロスケールの粒子間の流体力学的干渉を厳密に表現することに成功してきた.本年度はその手法を赤血球に適用し,赤血球の濃厚溶液である血液の数理モデル化を行った.特に赤血球の近距離干渉に焦点を当て,高分子の架橋構造による干渉力をばね力でモデル化することに成功した.狭さく部を通る血流の数値シミュレーションも行い,解析結果を実験結果との比較した. 赤血球を用いた血球の干渉実験および血流の可視化実験 シミュレーションの妥当性を検討するには,対応する実験データが不可欠である.そこで本研究では,研究室に既存のconforcal-micro PIVシステムを用い,染色した赤血球の干渉実験および血流の可視化実験を行った.微小血管の狭さく部を模擬した流路は,PDMS micro channelを用いて作成した.実験結果を数値シミュレーション結果と比較検討し,解析手法の妥当性を確認した.
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