研究概要 |
本研究では,水蒸気および二酸化炭素によって希釈されたメタン-空気予混合火炎に対し,高温・高圧下において層流燃焼速度の測定を行い,水蒸気および二酸化炭素希釈が燃焼メカニズムに及ぼす影響について調べた. 層流燃焼速度の測定は,研究代表者らが過去の研究において開発した粒子追跡速度計法(Particle Tracking Velocimetry, PTV)と平面レーザー誘起蛍光法(Planer Laser Induced Fluorescence, PLIF)を用いた局所燃焼速度測定法を用いて行った.実験は,希釈率0・5・10%の水蒸気および二酸化炭素希釈メタン-空気火炎に対し,当量比0.7〜1.3,雰囲気圧力0.1〜0.5MPa,混合気予熱温度600Kの条件下において行った.また,一次元平面火炎計算コードPREMIX・CHEMKIN IIを用いた層流燃焼速度の数値計算も同時に行い,得られた計算結果と測定結果を比較することにより,高温・高圧下における詳細反応機構(GRI-Mech3.0)の実用性についての検証を行った. 層流燃焼速度の数値計算結果と実験結果との間には差異が存在するが,希釈ガスの種類,希釈率および圧力が異なると,両結果間の差異の大きさは変化することがわかった.これは現存する詳細反応機構が古い測定結果を基に開発されたものであることに加え,本研究で実験を行ったような特殊環境下においては,実験データが存在しないことから,反応機構自体が対応していないといった理由によるものであると考えられる. 以上の結果に加え,層流燃焼速度に対する感度解析を行うことにより,各素反応が層流燃焼速度に及ぼす影響の大小を調べ,数値計算結果が測定結果を再現できるよう改良を施すためには,どの素反応パラメーターを改善すれば良いのかについて検討を行った.
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