研究概要 |
平成18年度は,矩形導波管を用いたマイクロ波加熱の困難な低加熱物体における加熱特性の高効率化を目的として,加熱補助として高加熱物体を付加した場合の有効性を,マイクロ波干渉の制御と熱伝導効果の両面から検討した.さらに,多重反射を含むキャビティ内のマイクロ波加熱の特性を解析的に検討した.以下に,検討事項を示す. 1.矩形導波管内で,誘電率の違う試料を組み合わせた多層物体のマイクロ波加熱を対象として,加熱量が増大する各試料の配置および各試料の長さを電磁場干渉の制御から明らかにした. 2.低加熱物体に加熱補助として高加熱物体を付加した場合のTE_<10>モードのマイクロ波加熱における透過波と反射波の干渉状態を,補助試料の厚さおよび設置位置と関連づけて解析的に明らかにするとともに,同一強度のマイクロ波に対する最大加熱量を理論的に明らかにした. 3.低加熱物体に加熱補助として高加熱物体を付加した場合のTE_<10>モードのマイクロ波加熱における熱伝導の効果を,補助試料の厚さおよび設置位置と関連づけて解析的に明らかにするとともに,同一強度のマイクロ波に対する最大加熱量を理論的に明らかした. 4.透過波と反射波の制御に加えて熱伝導効果を複合的に捉えることにより,最大加熱量に対する補助試料の誘電物性,厚さおよび設置位置の影響を次元TE_<10>モードのもとで理論的に明らかした. 5.多重反射を含むキャビティ内の三次元TMEモードにおける電磁波解析を行い,三次元解析の妥当性を検討した. 6.キャビティ内のマイクロ波加熱に対する三次元電磁場と熱の複合解析の取り扱いを確立するとともに,物体の誘電物性および設置位置とモード変化を解析的に明らかにした.
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