研究概要 |
昨年に引続き高集光長焦点深度ビームを用いたレーザー加工に特有なリング状の表面ダメージの低減を試みた.ステンレスや銅を加工対象とした場合,リング状の加工痕が観察される一方で,アルミを加工対象とした際には観察されなかったことから,酸化の際に生じる着色による吸収率の増加がリング状の表面ダメージをもたらすと考え,酸素が少ない状況での加工を試みた. アルゴンや窒素なのどアシストガスを吹きつけながら加工を行い,アシストガスを適用しない大気中での加工結果(表面ダメージを中心として)と比較検討した.大気中およびアシストガス吹き付け時における加工の共通点として,照射エネルギー密度が低くなるにつれて照射側表面のリング状の痕や黒く変色している範囲が小さくなる様子が観察された.アシストガスを適用して加工を行うことにより,副次ロブに起因する広範囲の変色やリング状の溶融痕を大幅に低減することができた.アシストガスの適用により加工の際に生じる酸化が抑えられるため変色を低減できたものと考えられる.また変色を抑えることができた結果,試料表面における光吸収率の増加も併せて抑えられ副次ロブのパルスエネルギーによる溶融も低減できたものと考えられる. 可視光による金属材料の加工とは加工現象が異なる紫外光を用いた高分子材料の加工も併せて行った.その結果,マイクロスケールのドリル加工が可能であったことから,加工現象が異なる系でも高集光長焦点深度ビームをマイクロドリルに適用できることが分った.
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