研究概要 |
従来の画像処理流速計は、PIVによる2次元面ステレオPIVもしくは、2台以上のカメラ構成による3次元PTV手法による計測である。これらは、複数台カメラが必要な上、粒子の対応付け等に複雑な計算プロセスが必要であり検査ボリュームの不確かさが大きい。しかしながら、本研究で用いられているホログラムを用いた三次元流速計装置では、1台のカメラ構成で3次元の粒子画像が得られ、高速度カメラを使うことにより高時間分解での計測を可能としている。本研究では、ミリチャネル内での物体周りの計測に成功しているこの技術をベースにし、ミクロ流体であるマイクロチャネル流に適用することを目的としている。近年急速に進歩する生体工学分野でのマイクロ流体計測において特に微小生物のその周りの計測に本計測手法の適用を行った。 a)マイクロチャネルおよびパイプ計測 マイクロチャネル内は、ダブルパルス間隔100[msec]での流れを計測する.流量は1.0[ml/h]に設定し,レイノルズ数は3.74となった.撮影は毎秒1000フレームで約2秒分(2027フレーム)撮影する.マイクロパイプ内の流れの計測には、流量は1.85[ml/h]に設定し,レイノルズ数は8.30とした.計測に用いる流路は幅101.9[mm],深さ32.5[mm]で断面が半円形のマイクロチャネルと,内径92[mm]のFEP(Fluorinated Ethylene Polymer)製のマイクロパイプで使用し、マイクロパイプは屈折率が1.338で水の屈折率(1.4)と近いため,ウォータジャケットに沈めることで,粒子のホログラムを鮮明に撮影できる.ホログラム再生し、粒子像をとらえ、トラッキングしベクトルを得た。 (b)微小生物の計測 微小生物であるブラインシュリンプの周りの流れを計測する。ブラインシュリンプは500ミクロンほどの大きさで手足を高速に動かし泳ぐ。この手の動きや、周りの粒子を捉えてホログラム再生し計測を行う。パルス時間間隔は、マイクロチャネルの計測と同様なものを用いた。
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