研究概要 |
パワーアシストシステムを例に,人間と知能機械の協調において,人間が意図した操作のそれぞれに対し,人間の望む操作感で作業支援するためのインタフェイスの実現を目標とした研究を行った.最終年度では,知能機械による,人間が意図した操作の推論精度の向上と人間が望む操作感の学習を通じた獲得という二つの問題が,相互依存の問題であるという認識をしつつ,1年目と2年目の研究で得られた,二つの問題のそれぞれを独立に解決する二つのアルゴリズムを同時に実装し,これらのアルゴリズムが上述の相互依存の問題を協調的に解決できるかどうかを実験的に観察した.実験結果から,意図した操作の推論精度は必ずしも十分でなかったにもかかわらず,意図した操作のそれぞれ対して人間が望む操作感は学習により獲得されることが示唆された.また,人間が望む操作感を獲得する学習アルゴリズムを,意図した操作の推論精度を考慮して改良することで,学習の効率化が期待されることも知見として得られた.ただし,その改良方法を研究することが今後の課題として残された.さらに,知能機械が人間に与える操作感が人間の望む操作感であるかを客観的に定量化する試みとして,人間が知能機械に与えたエネルギーと知能機械から取り去ったエネルギーの比に着目した評価指標を考え,実験結果を評価した.操作に習熟した人間の場合,知能機械が与える操作感を人間が望みの操作感であると感じたとき,評価指標がゼロに近くなることが観察された.
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