研究概要 |
近年,産業用機器や民生用機器では,保守性・制御性・耐環境性に優れ,比較的効率の良い永久磁石型同期モータ(PMSM)を多数使用している。しかしながら,PMSMが可変速モータとして用いられる場合,モータ構造上の問題やその駆動システムの不完全性により脈動トルク(回転むら)が発生し,振動,騒音の発生や機械系の劣化の原因となる。そのため,脈動トルクに起因するモータ振動対策は必要不可欠であり,多くの機関で対策手法が研究されている。 脈動トルクに起因する振動は,原理的にはモータの入力電圧あるいは入力電流に,脈動トルクを打ち消すための補償信号を加えれば抑制できることが知られているが,補償信号をどのように獲得するかが重要である。モータ構造の解析やモータの起電力から間接的に補償信号を求める手法も報告されているが,あくまでも近似的でしかなく十分なトルク脈動補償を行うには,さらなる微調整が必要となる。本研究で検討する手法は,個々のモータに対してモータが実装されている状態で,モータフレームに加速度センサを取り付けるだけで,高精度な補償信号の獲得が可能であり,他の研究機関での解析的な手法とは異なり微調整の必要がない。 平成17年度の研究では,PMSMの一種であるステッピングモータを制御対象とした機械系振動抑制制御システムを構築し,その有効性を本補助金で購入したFFTアナライザで確認した。平成18年度の研究では,平成17年度に構築したシステムの適用範囲を広げるために,制御対象モータをPMSM全般とする機械系振動抑制制御システムを構築した。本システムの有効性を実機実験で確認し,その成果を平成19年3月電気学会全国大会で発表した。
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