研究概要 |
本研究では,瞬時空間ベクトルインバータの新しいスイッチング制御法を提案し,これに基づいた高性能な誘導電動機サーボシステムの開発を行っている。今年度の研究により,以下の成果が得られた。 1.提案する瞬時空間ベクトルィンバータの新スイッチング制御法と,インバータの電圧飽和を考慮した制御法を組み合わせた誘導電動機のサーボシステムを,DSP(Digital Signal Processor)を用いて構築した。瞬時空間ベクトルインバータの新スイッチング制御法により制御遅れ時間が短縮されたことで,電流リプルを抑えた安定な電流制御が実現された。また,従来法に比べ,より高いゲインでの制御が可能となったことで,オーバーシュートのない高速な電流制御が実現された。さらに,インバータ電圧飽和を考慮した制御法を組み合わせたことで,速度リプルを従来法の1/10以下に抑えることができ,速度制御系,電流制御系ともに安定した動作が実現された。 2.DSPにより構築していた瞬時空間ベクトルインバータのスイッチング制御演算を,FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構築した。DSPを用いた場合は,電流検出から電圧指令の出力までに103[μs]の遅れ時間があったが,FPGAを用いたことで遅れ時間が20[μs]と約1/5に短縮された。これにより,制御遅れ時間の影響を抑えることができ,より高速で安定した電流制御が実現された。 3.FPGAを用いた新しい瞬時空間ベクトルインバータと,インバータの電圧飽和を考慮した制御法を組み合わせた。これにより,誘導電動機のサーボシステムにおいて,電流制御系,速度制御系ともに安定した制御特性が得られるようになった。
|