研究概要 |
平成19年度は,変調超格子の等価構造による準通過域形成メカニズムの考察,半無限周期モデルによる準通過域の推定,δ形ポテンシャルによる変調超格子の等価表現に関する検討を行い,以下の知見を得た. ・隣り合う一組のバリアと井戸を一つの等価ポテンシャルで表現する手法を提案し,それにより複雑な形状の変調超格子を単純な構造で等価表現できることを明らかにした.この等価構造により,準通過域における離散的な鋭い共鳴準位の鋭さと構造の依存関係が明らかとなった.この成果は,フィルタ性能を劣化させる準通過域の除去手法確立へのアプローチとなる. ・周期性の異なる二つの半無限周期超格子を接続したモデルにより,準通過域の帯域に関する情報を容易に抽出できることを明らかにした.この成果は,準通過域を考慮した変調超格子のバンド設計手法の確立へのアプローチとなる. ・δ形ポテンシャルに内在する幅の要素を等価バリア幅として顕在化させ,それを考慮した変調超格子により準通過域の形成が実現された.δ形ポテンシャルを用いて構造を等価表現することは,パラメータが削減するため,解析や設計に有効となる.
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