研究概要 |
昨年に引き続き,ポリイミドフイルム(25μm厚)乗り越え配線による2つのチップ電極間接続の研究を行った.昨年度はメタルマスクを用いた蒸着方によりAl配線を堆積していたが,今年は配線ピッチ縮小をねらい, Cu蒸着と厚膜レジスト(東京応化,PMER)により乗り越え配線のパターニングを行った.配線の形成には,リフトオフ,あるいはウエットエッチングを試みた.Cuの厚さは450nm,チップ間の配線長さは8mmであった.導通試験の結果,隣接ピッチ75μm,配線幅50μmのパターンはいずれの方法でも,フイルム段差部分で断線が起こった.隣接ピッチ150μm,配線幅100μmのパターンは,ウエットエッチングにより段差部分の乗り越え配線を形成することができた.20本の配線を測定して13本で導通していた.電極間配線の抵抗の平均値は9.3Ωで,最小値は7.2Ω,最大値は14.9Ωであった.かなりばらつきが大きいが,段差部分の配線幅や膜厚がばらついているためであると考えられる.フイルム側壁には接着剤であるポリイミド前駆体が若干はみ出しており,側壁部分が均一でないことが関連していると考えられる.Cuの抵抗率をバルクの抵抗値である1.7×10^<-8>Ω・mで計算すると,配線の抵抗値は寸法から3.0Ωであり,実測値はそれよりも若干高い.次に配線接続した2つのチップを180度折り曲げて積層して測定した.フィルム配線が外側を向くように折り曲げて,両面テープで2つのチップを固定した.折り曲げられたフィルム配線の片側全面に銀ペーストを塗布し,Cu基板に固定して,Cu基板と表側のチップ電極間の導通状態を測定した.表側のチップ電極から,裏面の銀ペースト塗布面までの配線距離は,ほぼ4mmである.測定の結果,折り曲げる前は13本の導通であったが,折り曲げ後は11本の導通となった.配線の抵抗値は平均21.1Ω,最大値40.0Ω,最小値7.6Ωであった.抵抗が増加したのは,銀ペースト部分の抵抗が高いためであると考えられる.
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