研究課題/領域番号 |
17760282
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子デバイス・電子機器
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
能崎 幸雄 九州大学, 大学院システム情報科学研究院, 助教授 (30304760)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | スピントロニクス / 不揮発性メモリ / スピン注入磁化反転 / 磁性ランダムアクセスメモリ / 熱アシスト磁化反転 |
研究概要 |
本年度は、熱アシスト効果を用いたMRAM書き込み方式の高速化を検討するため、高出力パルスYAGレーザを用いた記憶セルの高速加熱、及び熱拡散過程における磁化復元特性を詳しく調べた。記憶セルには、比較的強磁性秩序温度が低く垂直磁化特性を有するアモルフアスTbFe膜を用いた。従来のMRAMでは、基板内配線へのパルス電流印加により書込み磁界を発生させるが、配線のインダクタンス、および浮遊キャパシタにより、1ナノ秒以下の短パルス化が困難である。そこで、このような問題を解決する手段として、温度変化のみでMRAMセルの磁化を反転させる新たな書込み方式を提案し、その基本動作特性を計算機シミュレーションより調べた。以下、本研究で得られた知見を箇条書きにまとめる。 ●ストロボスコピックな手法を用いて、パルス幅(50-50%)、パルス立ち上がり(10-90%)ともに1ナノ秒のパルスYAGレーザをTb-Feドット(50μm×50μm×20nm)に印加した際の磁化変化を異常ホール効果測定により調べた。その結果、レーザ照射によるMRAMセルの到達温度が高いほど熱拡散時間が長くなることが分かった。今回試作した素子では、レーザ強度の最適化により10ナノ秒オーダの熱アシスト書込みを実現できた。熱アシスト書込みのセル加熱温度は、キュリー温度場程度が最適である。 ●T_cが低くハードな垂直磁化膜(TbFe)とT_cでソフトな面内磁化膜(CoFe)を交換結合させた複合膜記憶セルについて、セル温度をハード膜のT_c以上にパルス的に上昇させた後の磁化緩和過程を計算機シミュレーションにより調べた。その結果、垂直磁化膜の磁化を複合膜の面内交換等価磁界で歳差運動させることが可能であること、および加熱パルス時間によりハード層の磁化方向をスイッチングできることを見出した。この結果は、外部磁界を用いず、記憶セルの加熱のみによって磁化反転できることを示しており、熱アシスト書き込みの高速化を実現するための新たな手段として期待できる。 ●困難軸方向のスピンを有するスピン電流を注入することによるプリセッショナル磁化反転に関してマイクロマグネティクス計算を行い、熱アシストによる書込み電流低減効果を定量的に評価した。
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