研究概要 |
本研究課題は,光バーストスイッチング(OBS)におけるバースト競合を解決するために符号分割多元接続(CDMA)技術を用いたメディアアクセス制御技術を確立するものである.光CDMAを用いたOBSネットワークに適したIPパケットからバーストが生成方法送受信方法,フレームの形式,干渉除去,誤り制御方式なドの構成例を提案し,数値解析,シミュレーションを通して基礎技術を具体化した.提案方法の特色は,光信号を符号化することで,符号空間という新しい次元の信号空間を光領域で作ることにより,複数のバーストが同時刻に同一の光波長を転送されることを可能にしたところにある.申請者の提案方式は,従来のような電気通信技術で既に知られたものを光領域へ適用したものではなく,符号化によって同時転送可能にし,結果として衝突の影響をなくそうとする独創的なものと評価されており,衝突回避技術としての学術的意義が大きい.また,提案する光CDMAによる制御によれば,送信ノードにおける符号化と受信ノードにおける復号によってのみ行われるので,従来のような中継ノードにおいて複雑な制御を必要としない利点が大きい.中継ノードでは符号化されたバースト信号をただ光のまま転送しさえすればよく,この簡素化により,コスト面で導入が困難であったエリアへの光ネットワーク導入が期待される効果がある.研究成果として,光CDMAによりバーストが並列伝送された際に問題となる多元接続干渉の影響を誤り訂正符号の適用を検討する研究と,バーストの優先クラスを制御する優先制御方式を検討し,一般的なトラフィック分布を仮定し,均一トラフィック環境化において優先制御方式による優先制御が可能であることを示し,国外において評価を得た.これらの成果は2007年6月に電子情報通信学会論文誌で掲載が決定されている.
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