研究概要 |
本研究では,放送型のコンテンツ配信を行うに際して,購入契約を結んだユーザのみが該当するコンテンツを正しく受信できる方式を考案した.従来の放送型暗号方式とは異なり,購入者を特定できる情報(電子指紋)が密かに埋め込まれたコンテンツが配信されるように鍵管理を工夫しており,不正コピーが流出した際には不正者を追跡できる.本手法は,会員登録を行った上で特定の期間のみ受信できる復号鍵を契約ユーザに与える方法であり,会員登録は一定期間(例えば1年)ごとに更新させる必要がある.このアイデアは会員制のビデオショップにおける会員登録とレンタル期間を基にしており,不正があれば会員登録した際の情報から不正者を特定させることでトレーサビリティを確保している.この登録期間内でユーザが不正コピーの再配布を行えば,放送者は期間内のコンテンツに対する損害をユーザに訴えることができる.このシステムを可能とする基盤技術が,鍵管理に基づく電子指紋プロトコルと時限付鍵管理方式であり,本研究にて実現させた.また,インターネットを介したコンテンツ配信にも適用させるために,分散サーバを用いるコンテンツ配信手法を考案した.更には,電子指紋の作成方法にも着目し,不正ユーザによりコンテンツから改ざんや除去されにくくするために専用の符号を考案し,その適用例をまとめた.
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