研究概要 |
最小重み探索は,繰り返し復号法や軟値入出力復号法などに応用可能な局所探索法である.最小重み探索は,線形ブロック符号の最小重み符号語の構造を利用し効率的に探索を行う.以前,我々は,リード・マラー符号の最小重み符号語の簡単で規則的な構造を利用した最小重み探索を提案した.そして,リード・マラー符号を対象として最小距離探索を用いて,効率的に候補符号語を生成し,その候補符号語リストより軟値出力値の計算を行う軟値入出力復号法を提案した.本研究では,その軟値入出力復号法に於ける最小重み探索を用いた候補符号語の生成法を拡大BCH符号に拡張することを検討した.その拡張には,拡大BCH符号の効率的な最小重み探索が必要になるが,その前に,拡大BCH符号の最小重み符号語の綿密な構造解析が必要であるとの結論に達した.そこで,拡大BCH符号の中でも適度な長さを持ち,代表的なパラメータの(32,21,6),(64,45,8)拡大BCH符号を選び,ブール多項式表現を用いて最小重み符号語の構造解析を行った.その結果,左右の分割重みによって最小重み符号語集合をクラス分けし,クラス毎に代表元を求め,残り全ての最小重み符号語を展開するために必要な変換を示すことができた. 候補符号語集合のリストを用いた軟値入出力復号法においては,各ビット位置の軟値出力値を求めるために2つの符号語が必要になる.すなわち,最尤復号語と競合符号語である.我々が以前,提案したリストを用いた軟値入出力復号法では,比較的低い部分を除いたSN比において最小距離探索を用いて効率的に競合符号語を生成できた.しかしながら,比較的低いSN比においてコンピュータ・シミュレーションを用いて最尤復号語と競合符号語のハミング距離の分布を調査したところ,無視できない数の競合符号語が最小距離より離れたところ,例えば,2番目,3番目のハミング重みの位置に存在することが明らかになった.本研究では,最尤符号語から最小ハミング距離より遠いところにある競合符号語を探索するために,最小距離探索を連鎖状に用いる方法を提案した.コンピュータ・シミュレーションによって,提案手法は,従来法に比べて精度の高い競合符号語を生成可能であることを示した.
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