研究概要 |
近年,ユビキタスコンピューティング環境の普及につれ,様々な物体にRFIDタグが貼り付けられている.現在のところ,RFIDタグのついた物体の定位には別途位置センサが必要である.しかしながら,RFIDタグとの交信に用いる電磁場そのものを適切に計測・処理し,タグ位置を電磁場源の位置として推定することができれば,ロケーションアウェアネスを有するアプリケーションの実現が容易となる. 本研究では,135kHz,13.56MHzのパッシブタグのみならず,300MHzのアクティブタグを定位するため,1)定位センサが固定されている場合,2)定位センサが観測者とともに磁場源に接近している場合,の2つの状況を想定し,タグにより遠方場が生成されている場合の定位手法を開発した.まず1)の場合,磁場の空間勾配からなるテンソル量,および磁場強度を観測量とすることにより,磁場源位置に関する線形な方程式が導出できることを示した.これは静磁場のときとほぼ同様の式となるため,直交ループコイル,平面型直交グラディオメータ,および軸方向グラディオメータからなる局部的センサユニットにより定位が実現できる.さらに,磁場と電場の双対性から,900MHz帯域,あるいは2.45GHz帯の電気ダイポールアンテナを有するRFIDタグの場合でも,電場およびその空間勾配を計測することで,線形逆問題の解として,タグの姿勢によらない3次元定位が実現できることを示した.また2)の場合,観測者-磁場源の直線上で移動しても,磁場ベクトルの向きは一定である,という性質を用い,効率良く磁場源に接近する手法を開発した.
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