研究概要 |
本研究では深層混合処理工法により改良された地盤からのCa溶脱に伴う劣化に関して検討を行うことを目的とした.その中で,(1)改良地盤からのCa溶脱に関する促進試験方法および解析方法の確立,(2)劣化部の評価方法の確立,(3)Ca溶脱に及ぼす影響因子の特定,(4)Ca溶脱に対する抑止効果の高い配合の提案を行った. 以上の検討結果から主に以下の結論が得られた. 1)本研究により、長期に渡るセメント系改良地盤のCa溶脱に伴う強度劣化に関する予測手法が構築された。また、本予測手法により、20年間供用された改良地盤におけるCa溶脱による強度劣化を定量的に表現できることが確認された。さらに、改良地盤の長期供用を考えた場合Ca溶脱に対する対策が必要であることが示唆された。 2)粘土のポゾラン反応性および周辺粘土中の塩化物イオンあるいは水素イオンが改良地盤からのCa溶脱に及ぼす影響が明らかとなった. 3)改良地盤の強度がコンクリートのそれより低いことを考慮し,針貫入試験を適用した物理的変質状況を評価する手法を検討し,5mm程度の間隔で改良地盤中の微小領域の強度を評価することができた. 4)セメント系材料により軟弱地盤を改良する場合,現行の配合強度(設計強度)のみならず,Ca溶脱に対する耐久性に関しても考慮する必要があることが示唆された.また,上記の方法と化学分析によるカルシウム量の分析結果から,カルシウム量と強度の関係を示すことができた.
|