研究概要 |
FDR法(Frequency Domain Reflectometry)等の誘電率測定法の原位置での適用性に関するデータの取得を主たる目的とし,汚染度の測定と水分量の長期計測を実施した。 具体的には,まず有効間隙率の測定手法に関する検討として,FDR法の同軸プローブを地盤中に挿入し,その近傍からエタノール溶液を注入することによって,ピンポイントで地盤の有効間隙率の測定を行う手法についてその有効性を確認した。また,ADR法を用いたボーリング孔の上部注水による原位置測定方法について検討した結果,簡便かつ短時間で妥当な測定が可能であることがわかった。 次に,誘電率計測法のトレーサー試験への適用性について水と同様の単位体積重量に調整したエタノール溶液をボーリング孔内に注入して,観測井での誘電率の経時変化を測定することにより,地盤中のマクロな有効間隙率,分散長等の物質移行特性について室内での2次元不均質土槽により,有効性の検討を行った。結果として,従来用いられてきた塩水を用いた方法より,溶液の密度差による影響を受けない測定が可能であることが分かった。さらに,NaBrを用いたトレーサー試験を3次元不均質土槽で実施し,その測定誤差を検討した。 また,原位置における不飽和浸透特性の測定手法の開発として,実際の斜面において水分量を長期間,連続的に測定することで,降雨時の浸潤前線の浸透メカニズム及び不飽和浸透特性を測定する手法の開発を行った。さらに斜面崩壊において現在明らかとなっていない降雨浸透が引き起こす崩壊パターンについて考察した。
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