研究概要 |
本研究で取り上げるフラップゲート型可動式防潮堤は,通常時に海底に防潮堤を格納しているため景観性と海水交換性に優れ,また締め切り時間が短いことから異常波浪時には防護機能を発揮できるなどの利点がある.しかし,同防潮堤の性能,特に防潮堤が可動している際の耐波機能に関してはほとんど議論されておらず,実用化に向けての検討課題が多く残されている.また,現在のところ可動式構造物を対象とした計算例はほとんどなく,フラップゲート型可動式防潮堤の耐波機能を高精度に検討するためには,まず物体と流体の動的相互作用を考慮した新たな数値モデルを開発する必要がある.そこで,本研究では,フラップゲート型可動式防潮堤のように並進・回転運動する構造物と流体の相互干渉を解析できるVOF (Volume Of Fluid)法に基づく断面2次元数値波動水路を構築し,フラップゲート型可動式防潮堤の耐波機能について検討することを主たる目的としている.平成18年度の主な研究成果は以下のとおりである. (1)剛体の並進・回転運動を考慮したVOF法に基づく数値モデルの構築: 昨年度構築した剛体と流体の動的相互作用を考慮したVOF法に基づく断面2次元数値波動水路に構造物の並進・回転運動が考慮できるよう,モデルを改良・構築した. (2)モデルの精度検証と波作用下におけるフラップゲート型防潮堤の耐波機能: 本研究で構築した数値波動水路を用いて,着底型鉛直構造物,着底型傾斜構造物,浮体構造物,任意形状構造物を対象に,構造物と流体の相互干渉に対するモデルの妥当性を検証した.また,波作用下におけるフラップゲート型防潮堤を対象に数値解析を行い,可動中におけるフラップゲート型防潮堤の耐波機能について検討した.
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