研究概要 |
これまでにPCaPC造の接合部に関する研究はいくらか行われてきたが接合部せん断破壊型の研究はほとんど行われておらず,特に立体架構の2方向加力実験は皆無である.そこで,本実験は試験体形状を変数とした接合部破壊型スラブなしPCaPC造立体柱梁接合部試験体に水平2方向交番載荷実験を行い,接合部せん断破壊型立体架構の接合部せん断耐力,および接合部のせん断強度の2軸相関について検討することを主目的とする.また,同様に実験データのないシース管内にグラウトを注入しないアンボンド型の立体架構試験体について実験を行い一般的な接合部破壊型との比較も行う.さらにそれぞれに付随した平面試験体についても実験を行い,実験結果と比較した. 立体試験体は1サイクルで主方向と直角方向(主方向に対して)にも動かす為に接合部部分,特に隅角部には著しい破壊がみられた.梁のひび割れはプレストレス導入の効果と柱コンクリートに先に大きくひび割れが入ってしまうことからそれほど多く見られなかった.4方から梁の接続する立体柱梁接合部がせん断破壊することが確認された. PCaPC接合部の性能評価を試みた結果,接合部のせん断ひび割れ幅とせん断変形角との間にはせん断変形角が0.5%から0.6%で勾配が変わる2つ折れ線の線形性を有する評価式を得るとともに,PC接合部はRC接合部に比べてプレストレス力によって損傷低減効果が期待できることが明らかになった.
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