研究課題/領域番号 |
17760522
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 常葉学園大学 |
研究代表者 |
土屋 和男 常葉学園大学, 造形学部, 助教授 (60333259)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 近代和風 / 住宅 / 場所性 / 近代数寄者 / 敷地 / 高橋箒庵 / 別荘 / 茶会記録 |
研究概要 |
(1)前年度にまとめた『東都茶会記』における近代数寄者の住宅の所在のうち、特に東京におけるものについて地形との対応関係を図化し、また当該敷地の江戸期以来の変遷を調べ日本建築学会で発表した。 (2)近代数寄者の住宅(別荘)が存在した場所のうち、特に彼らの土地選定に関わる美意識と強く結びついた場所として興津を選び、そこに存在した別荘群とその形成の背景について、既往の成果とあわせてまとめた。 (3)近代数寄者の系譜は一般に抹茶系のものであるが、一方で煎茶系の文人好みの系譜がある。文人好みの住まいの立地やデザインについて、興津に存在した西園寺公望別荘・坐漁荘を例に、成田山書道美術館における展覧会にあわせて同館から聴取を行い、図録に寄稿した。 (4)前年度同様の手法で、高橋義雄の茶会記録『大正茶道記』に基づく近代数寄者の住宅のリストから、その所在と立地に関する特徴を調べた。この時代の新たな傾向としては、立地が田園のような郊外や高原別荘地に広がっていることで、そこに相応しい住まいの姿として田舎屋がつくられた。人物としては「建築技術家」仰木魯堂の存在が重要で、かなりの数寄者の住宅建築に関わっている。この内容については「『大正茶道記』に見られる近代数寄者の住宅の所在と立地」と題し、平成19年5月現在、日本建築学会で査読中である。 (5)(4)のうち、特に東京におけるものについて当該敷地の変遷を平成19年8月に日本建築学会で発表することが決まっている。 (6)(4)における傾向は『昭和茶道記』においてもひきつづき見られる。近代数寄者たちは住宅建設にあたって、前時代への憬れに基づいて土地を選び建物を建てることから展開し、郊外に住宅を建て、田舎屋を移築し、その意味で率先して近代化を享受した。彼らの示した住宅の立地と姿は、成功者の住まいと趣味の形として現在も理想の住宅像の一端を担っている。
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