研究課題/領域番号 |
17760530
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒河 一渡 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 助手 (30294367)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
|
キーワード | 照射損傷 / 格子欠陥 / 点欠陥 / 転位 / 転位ループ / バーガース・ベクトル / 電子顕微鏡 / 超高圧電子顕微鏡 |
研究概要 |
結晶性材料の機械的特性は、その大部分が、転位の挙動によって担われる。よって、工業的に要求される性質をもつ新材料を創製するには、転位の挙動に関する基礎的知見が必須となる。本申請者は、前年度までに、孤立したナノメートルサイズの転位ループのバーガース・ベクトルの変動の様子をリアルタイムで直接検出するために、既存の電子顕微鏡を改良し時間変動回折波による弱ビーム暗視野法を全く新しく開発した。これは、具体的には、コンデンサー・レンズ下段の偏向コイルに新しく開発するスイッチング回路を取り付け、電子ビームの傾斜を短い時間間隔で周期的に変動できるようにするものである。こうすることによって、弱ビーム暗視野法において励起する電子回折波を短い時間周期で変動することが可能となった。このように新しく開発した実験手法において、回折波の回折ベクトルと転位のバーガース・ベクトルの間に成り立つ関係などを利用することにより、個々の転位ループのそれぞれの時刻でのバーガース・ベクトルを高い精度で動的に決定できるようになった。この手法をBCC鉄にあてはめ、微小な転位ループのバーガース・ベクトルが自発的に変化する確証を得ることに成功した。 本年度は、BCC鉄中のナノメートルサイズの転位ループ同士が合体した際に起こる転位反応について電子顕微鏡法により詳細に調べた。その結果、例えば、バーガース・ベクトルb1=1/2[111]とb2=1/2[1-1-1]の転位ループ同士が衝突・合体しても、新たに形成する転位ループのバーガース・ベクトルは、b3=b1+b2とはならずに、b1あるいはb2となってしまうことが判明した。 これらの転位反応は、転位のバーガース・ベクトルに関する従来のキルヒホッフ則から予想されない結果であり、ナノメートルサイズの転位ループに固有の現象であると考えられる。
|