研究概要 |
平成18年度は窒化ガリウム(GaN)に添加する希土類元素として,前年度に試みたユーロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd)に続き,プラセオジウム(Pr),エルビウム(Er),テルビウム(Tb),ツリウム(Tm)を主に発光特性の発現を期待して選定し,各種希土類元素がドープされたGaN結晶の合成を試みた。各試料ともに透明結晶が多く生成したが,室温におけるフォトルミネッセンス測定ではドープした元素由来の発光は確認出来なかった。4KにおけるHe-Cdレーザー励起(325nm)によるフォトルミネッセンススペクトルにおいて,PrドープGaN単結晶からは651nmおよび653nmでPr^<3+>イオンの4f軌道内の^3P_0→^3F_2遷移による発光ピークが検出され,PrドープGaN結晶を合成することができた。 前年度で合成に成功した室温で強い赤色発光を示したEuドープGaN結晶の合成に関して,ルツボ材および,温度,融液組成条件を精査することで,前年度よりも2倍以上の強度で発光するEuドープGaN結晶を高い収率で得ることが可能になった。最も発光強度強い試料中のEu量は,Gaに対して0.22at%であり,これより高濃度のEu量がドープされたGaN結晶では発光強度の低下が観測された。融液中のEuを増加させることで,結晶中により高濃度のEuがドープされ,濃度消光による発光強度の低下や消失が起こったものと考えられる。
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