研究概要 |
本研究は還元雰囲気におけるセリア系酸化物の全導電率から酸化物イオン導電率のみを分離して測定することを目的としている。その方法として電子ブロッキング法を試みた。この方法はセリア系酸化物の両端に純酸化物イオン導電体を電極として設置し電子イオン導電を遮断し酸化物イオン導電率のみを測定する方法である。まずセリア系酸化物Ce_<0.9>Gd_<0.1>O_<1.95>(CGO)と電子ブロッキング電極La_<0.9>Sr_<0.1>Ga_<0.8>Mg_<0.2>O_3(LSGM)を別々に焼結し緻密体を作製し,それぞれの表面を研磨したものを重ね合わせて測定を行った。交流インピーダンス法により抵抗値を測定したところCGO/LSGMの全体の抵抗が10MΩほどとなりCGO単体の抵抗と比べても非常に大きいものとなった。これはCGOとLSGMの界面の接着が不十分なため,界面での抵抗が非常に大きいためだと考えられる。そのため電子ブロッキング電極は十分に接着されている必要があることが分かった。次にCGOとLSGMの粉末を重ねてプレスし共焼結した試料を作製し測定を行った。交流四端子インピーダンス法では導電率は還元雰囲気において大幅に増加した。さらに直流四端子法で測定した場合も同様の挙動を示し,全導電率と比較するとほぼ同じ値であることが分かった。このことはLSGM電極により電子がブロックされていないことを示している。CGOは還元雰囲気では酸化物イオンと電子の混合導電体であるために,CGO中の電子が気相の酸素分子と結びつき酸化物イオンとなるという一連の反応により,ブロッキングされるべき電子が酸化物イオンに変化してLSGM中を導電してしまうためだと考えられる。
|