研究課題
若手研究(B)
現状の汎用青色LEDは、サファイア基板上に成膜したGaN系半導体で作製されている。サファイア基板上に連続かつ平坦なGaNをヘテロエピタキシャル成長させるには、AINバッファ層の開発が欠かせなかった。しかし、サファイアとAINは絶縁体であるため、複雑な横型LED構造を取らざるを得ない。より高輝度なLEDを作製するには、簡単な縦型LED構造にすることがひとつの方策である。縦型LED構造には、導電性の基板とバッファ層が必要であり、本研究では、その第一歩として導電性バッファ層の開発を試みた。昨年度は、導電性バッファ層として遷移金属窒化物に着目し、その中でもTiN膜上ではGaN膜が連続、平坦に成長することを報告した。連続で平坦なGaN膜の成膜には、TiNバッファ層成膜条件として、1)2軸配向性((111)面配向+面内配向)、2)窒素濃度を化学量論組成より増加させること、3)結晶粒を微細化させることが重要であることを報告した。本年度は、高品質なGaN膜成膜に及ぼす基板温度の低減とTiN膜厚の低減の影響を調べた。その結果、基板温度の低減とTiN膜厚の低減は、 TiN結晶粒の微細化に有効であり、微細化によりGaN膜の平坦性が向上することを見出した。基板温度が室温でTiN膜厚が5nmのときに最も平坦なGaN膜が得られた。その表面平坦性は約10nm以下であった。この条件で、TiN膜の結晶粒は最も微細とあった。このTiNバッファ層上では、GaN初期成長時のGaN島密度が最大となり、その後の平坦なGaN層状成長へと移行した。つまり、TiN膜の粒界が核生成サイトとなり、平坦なGaN膜成膜にはGaN核生成頻度の増加が必須であることを実証した。TiN膜厚を5nmより薄くすると、 TiN結晶粒は5nm厚のときより微細化せず、GaN島の成長は横方向より縦方向が優先的となり、GaN膜表面には多数の溝と穴が形成した。5nm厚より薄いTiN膜では、バッファ層としての効果が低減されてきたのも高品質なGaN膜が得られない一因と考えられる。
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Extraction, Processing, Structure and Properties Proceedings on General Abstracts : Electronic, Magnetic, and Photonic Materials Division
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