研究概要 |
本年度は,テトラエチルオルトシリケートの加水分解・重合反応によって作製したシリカキセロゲル膜の構造および膜特性を原子間力顕微鏡(AFM)および接触角測定により判断し,得られたデータから判断した最適製膜条件をもとに,Si製カンチレバー上にシリカキセロゲル膜をディップコーティング法により塗布した.しかし,SEM等による観察の結果,カンチレバー上に塗布したシリカキセロゲル膜が不均一であり,また一部分にはくりが生じた.よって,昨年度の研究においてガラス基板上へ塗布したゾル組成,コーティング条件ではシリカキセロゲル膜を適切に塗布することができないことがわかった.そこで,Si製カンチレバーからSi_3N_4製カンチレバーに変更して,溶液環境のpH変化に対して原子間力顕微鏡によって測定されるフォースカーブがどのように変化するか調査した.そのため,金板を中性水溶液中でカソード分極することによって,金表面で酸素の還元反応を生じさせ,表面のpHを変化させた.フォースカーブの測定から溶液内のpHの変化に応じて,フォースカーブ形状が変化し,カンチレバーにかかる引力が変化することが明らかになった.このことから,試料表面のpH変化をフォースカーブ測定より検出し,pH分布をマッピングすることが今後期待された. 今後は,機水特性が良いシリカキセロゲルにSi_3N_4を添加した薄膜をカンチレバー上に塗布できるように製膜条件を探索し,水素イオン分布測定に適用したいと考えている.
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