研究課題/領域番号 |
17760582
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
杉本 尚哉 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (20291784)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2005年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 真空アーク / 陰極点 / パルス放電 / 酸化膜除去 / 仕事関数 |
研究概要 |
真空中のアーク放電(真空アーク)では、陰極上に「陰極点」と呼ばれる高エネルギー密度領域が発生し、陰極上をランダムに動き回る。真空アーク金属表面洗浄では、この特性を利用して金属表面上の不純物を蒸発除去する。これまでの研究により、金属表面状態により陰極点の振舞いが変化し、そのために洗浄後の金属表面も変化することがわかっているが、表面状態の陰極点挙動への影響と、陰極点挙動の金属表面への影響との間の詳細なメカニズムは不明である。本研究では、当補助金で購入したパルス電源を用いて真空アークを発生させ、発生直後の陰極点の様子を調べることにより、表面状態の陰極点挙動への影響を明らかにすることが最終目標である。 表面が5μm程度の酸化膜で覆われたSS400鋼を陰極として、200Paのアルゴン雰囲気下でパルス長10μs、電極間に1kVの電圧を印加すると、陰極上に突発的に輝点が観測された。放電電流の時間変化によると、電圧印加開始後〜8μsまでは比較的ゆっくりと電流が増加するのに対し、その後は電圧が切断されるまで急増しているのが分かった。電流値は最終的に100A以上に達している。一方、輝点が観測された後の陰極表面には、輝点により酸化膜が除去されたものと考えられる痕跡が見られた。痕跡は様々な形をしているが、〜100μmの大きさである。パルス後半の急増している電流変化が輝点の発生を示していて、さらに輝点のサイズが痕跡と同程度であるとした場合の輝点のエネルギー密度は、従来観測されていた陰極点のものとほぼ一致することから、観測された輝点は陰極点と考えられる。また、痕跡を顕微鏡で観察すると、中心付近の酸化膜が除去されずに残されているものが多数あるのが明らかとなった。これは、陰極点では中空状に電流が流れているか、あるいは、陰極点がさらに小さな構造を持っていてそれが移動しているものと推測されるが、その解明は今後の課題である。
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