研究概要 |
メソポーラスシリカ合成時にアミノ基を有するシランカップリング剤を添加することによって,細孔内をアミノ基で修飾したメソポーラスシリカを合成し,その構造及びイオン交換能を検討した。シリカ骨格の大きさは固定化アミノ基量に依存せず,約40Åで一定であった。一方,細孔径はアミノ基量の増加に伴い大きく減少し,アミノ基量が15mol%(仕込み量)の時,21Åとなった。特に興味深いのは細孔容積の変化であり,アミノ基を導入しない場合,900mm3/gであったが,15mo1%のアミノ基を導入すると300mm3/gまで減少した。この減少量は導入したアミノ基の体積のみを考慮しても説明できず,アミノ基が細孔内に固定化されることによって生じる死空間の存在を考慮しなければならないことが明らかとなった。この複合体中のアミノ基は酸性溶液中で4級アンモニウムとして存在しているため,陰イオン交換体として作用する。その陰イオン交換能を検討するため酸塩基滴定を行った結果,(1)イオン交換容量は細孔内に固定化したアミノ基量の増加に伴い増加し,約1.5mmol/gまで増加したこと,及び(2)陰イオン交換能を示すpH領域は固定化アミノ基量に依存しないことが明らかとなった。次にメチルオレンジのイオン交換実験を行った。メチルオレンジ吸着量は溶液のpHによって大きく変化することがわかった。酸性溶液中では仕込んだメチルオレンジの90%以上が吸着した。溶液のpHを上昇させるとpH5付近からイオン交換量は減少し始め,中性領域(pH8付近)では全く吸着しないことが明らかとなった。この溶液pHに対するイオン交換量の変化は滴定曲線にほぼ一致したことから,4級アンモニウムの対イオン(本研究ではCl^-)とのイオン交換が進行していることが明らかとなった
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