研究概要 |
酸化物イオン-電子(ホール)混合導電体は,空気からの酸素分離に加えて、NOx分解、メタン部分酸化用メンブレンリアクターなどへの応用が期待されている。これらの応用に対しては、高い酸素透過性能に耐還元性が要求されるが、現存の材料で両性能を同時に満足するものは少なく、新たな材料の開発が望まれている。そこで本年度は特に膜材料の開発に主眼を置き,耐還元性と高い酸素透過能を併せ持つBa-Sr-Fe-O系ペロブスカイト型酸化物をホストとし、BサイトをGaやAlで部分置換した系について検討を行った。 まず,(Ba_xSr_<1-x>)0.98Fe_<1-v>M_vO_<3-δ>(M=Ga, Al)の合成および酸素透過能を評価した。その結果,膜厚約1mmの緻密焼結体膜を用いたAir/Heの酸素分圧勾配の下での酸素透過速度は、900℃において1.0〜1.2cm^3(STP)min_<-1>cm^<-2>を示し、Ga、Alの置換とともに低下した。(Ba_λSr_<1-x>)0.98Fe_<1-y>M_yO_<3-δ>の酸素透過能は、既知材料と比較して必ずしも高いとは言えないものの、酸素透過性と耐還元性を併せ持ち、メンブレンリアクター用膜材料としてのポテンシャルを持つ材料であることを明らかにした。 次に,(Ba_xSr_<1-x>)0.98Fe_<1-y>M_yO_<3-δ>(M=Ga, Al)のメタン部分酸化反応メンブレンリアクターとしての特性を評価した。その結果,CH濃度やNi系触媒の種類に依存したが、本条件下においてGaおよびAlを置換した酸素透過膜は安定に動作し、Al置換体よりGa置換体を膜としたほうが優れたメンブレンリアクター特性を示すことを確認した。膜表面に塗布したNi含有酸化物を還元して調製するNi。系触媒の特性は、Ni含有量より生成するNiOの粒子径や分散度に依存し、本研究ではハイドロタルサイト前駆体単独やNi系触媒と膜材料との混合触媒が最も優れた性能を示した。
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