研究概要 |
本研究は、水素を多量に含有するコークス炉ガス(H_2-CH_4-CO)からの新規な水素・分離精製プロセスの開発を目指し、高温還元雰囲気下で使用可能なプロトン導電性固体電解質SrZr_<1-x>Y_xO_3に着目し、電気化学的手法による高温水素含有混合ガスからの水素分離・精製を目的とした。本年度は、水素分離材料であるプロトン導電性固体電解質SrZr_<1-x>Y_xO_3のプロトン導電性の検討、さらに水素分離時の電圧の測定を行い、以下の知見が得られた。 (1)SPS法(1300℃,4min)で作製したSrZr_<1-x>Y_xO_3(x=0.05,0.1,0.2)の中で、SrZr_<0.9>Y_<0.1>O_3(x=0.1)が最も高い導電性を示すことがわかった。 (2)SPS法(1300℃,4min)で作製したSrZr_<0.9>Y_<0.1>O_3は、通常の固相焼結(1600℃,20h)の試料よりも水素雰囲気において高い導電性を示すことがわかった。また、湿潤雰囲気における導電率は乾燥雰囲気の値よりも高いこともわかった。 (3)SPSで作製したSrZr_<0.9>Y_<0.1>O_3を用いて、800℃における水素分離の電圧を測定したところ、電流10mA cm^<-2>でセル電圧は約5Vと高いことがわかった。また、その際の過電圧は1Vより低く、試料電解質の電気抵抗が高いということもわかった。 今後、省エネルギー・高効率での水素分離の実現のために、試料の薄膜化により電気抵抗を低く、さらに電極触媒の最適化により過電圧を低くすることが課題である。
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