研究課題
若手研究(B)
日本メダカOryzias latipesの雄性決定遺伝子であるdmrt1bY遺伝子は常染色体上に存在するdmrt1a遺伝子の重複によって生じたと考えられる。今年度の研究ではその進化的側面に注目し、近縁種でのこれら2つの遺伝子のゲノム構造を解析した。日本メダカに近縁なハイナンメダカ(O.curvinotus)のOcudmrt1aとOcudmrt1bY、ルソンメダカ(O.luzonensis)のOludmrt1a遺伝子および偽遺伝子であるOludmrt1p遺伝子、インドメダカ(O.dancena)のOdadmrt1遺伝子の解析を行った。ゲノムBACまたはfosmidライブラリーからそれぞれのクローンを単離し、塩基配列を決定した。その結果、Ocudmrt1a 28kb、Ocudmrt1bY 37kb、Oludmrt1a 22kb、Odadmrt1 38kbの配列を得た。日本メダカのOladmrt1aおよびOladmrt1bY遺伝子も含めて比較した結果、全体的な相同性は系統関係を反映し、共通したintron/exon構造と、系統に特有の繰り返し配列が明らかになった。dmrt1a遺伝子は上流域の約3kbは相同性を示すものの、それよりも上流では相同性が見られない。dmrt1bYでは、相同性は上流1kbにしか見られず、これらの領域がそれぞれの遺伝子の制御領域であることが強く示唆された。ルソンメダカの偽遺伝子Oludmrt1pが起源的にはdmrt1bYに由来するものであるかを検証しようと試みた結果、ルソンメダカのこの領域は日本メダカの第18連鎖群に存在する32kbの領域に相当し、その領域にはdmrt1に類似した配列は存在しないことが明らかになった。すなわち、メダカ属の中で性決定遺伝子を生じるdmrt1の遺伝子重複意外にも遺伝子重複が少なくともルソンメダカでは起こったと考えられる。
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