研究課題/領域番号 |
17770012
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
コルネット リシャー 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 博士研究員 (20376586)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | シロアリ / カースト / 兵隊分化 / 幼若ホルモン / 遺伝子発現 / 表現型多型 / 脱皮腺 / アラタ体 / 脂肪体 / P450 |
研究概要 |
社会性昆虫では複雑な社会構造を示すコロニーの中に分業と多型性に至るカースト分化が見られる.特にシロアリではそのカースト分化経路は顕著で、例えば兵隊カーストはワーカーカースト(擬職蟻)から前兵隊というステージを経て形態を変え、分化する.そのシロアリのカースト分化は、体内の幼若ホルモン(JH)濃度の調節により生じる現象だと考えられている. 本研究では、オオシロアリの兵蟻分化を幼若ホルモン類似体(JHA)で誘導し、その際の遺伝子発現をsubtractive hybridization法で解析した.擬職蟻とJHA処理24時間後の個体の遺伝子発現を比較した.JHAに誘導される遺伝子の中はヘキサメリンが特に顕著な応答を示した.ヘキサメリンはJHに結合し、JH濃度を下げる効果があると考えられている.JHAに抑制される遺伝子のうち、擬職蟻特異的なβ-endoglucosidaseなどの消化酵素が多く、アレルゲンも代表的であった.発現パターンの解析は現在進行中である. 続いて、ヘモリンフ中の内在性のJH濃度を調べる為にLC-MSによる分析方法を開発し、各カーストで測定を行った.オオシロアリの内在性幼若ホルモンはJHIIIであり、その濃度は脱皮5日間前に2倍以上まで上昇する.静止脱皮後と前兵隊脱皮後のJH濃度の低下パターンは異なっていることなどが分かった. 並行して内分泌腺の組織観察を行った.繁殖カーストである有翅虫と補充生殖虫では、JHを分泌するアラタ体が大きく変化した.誘導された兵隊分化過程では、観察されたアラタ体細胞の活性はJH分泌量を反映していた.エクダイソンを分泌する脱皮腺に関しては、JHAの強い刺激効果を受け、誘導された兵隊分化の際に肥大化した.細胞の分泌小胞は脱皮前のエクダイソンのピークを反映した. 以上の結果は国際社会性昆虫学会(ワシントンDC)と昆虫ワークショップ(金沢)で発表し、組織観察の結果は現在Journal of Morphology誌に投稿中である.
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