研究課題
若手研究(B)
PHS1タンパク質は、配列情報とフォスファターゼ活性を示すことから、MAPキナーゼフォスファターゼとして機能することが推測された。また、dominant negative変異体の解析から、表層微小管を介した根の伸長制御に関与することが示されている。本研究は、PHS1の機能解析とPHS1に関与する新たな微小管配向制御因子の発見により、植物の表層微小管の形成・調節機構と、細胞伸長制御のメカニズムを明らかにしていくことを目的としている。1. PHS1と相互作用して表層微小管の配向を制御する因子を単離するため、phs1-1変異体に変異原処理し表現型の回復と強調を指標に遺伝的に関与する因子の単離を試みた。前年度よりあわせて、100系統をこえる表現型回復変異体を単離した。12系統が、PHS1遺伝子の変異によるものであり、phs1-1が機能獲得変異であることを示唆する。さらに、4系統については、βチューブリンのミスセンス変異による優性変異体であることが示された。これは、phs1-1変異が微小管の配向制御に非常に強く影響を与えていることを示唆する。さらに、微小管関連因子SPR1の優勢変異体も単離した。機能的なSPR1-GFP融合タンパク質をもつ植物を作出し、局在に大きな変化がないことは確認した。2.表層微小管の形成・調節にMAPキナーゼカスケードの存在が示唆された。そこで、19のMAPキナーゼ遺伝子、8のMAPキナーゼキナーゼ遺伝子のT-DNA挿入による機能欠損変異体を入手した。これら変異体の挿入の有無を確認し、表層微小管への影響を確認できる段階になった。3. PHSゲノムにGFPを融合した機能的な遺伝子を作成した。BFA感受性の細胞コンパートメントに多く存在することが予想された。
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Annals of botany 98
ページ: 1179-1187
Curr Opin Plant Biol. 9(1)
ページ: 5-11
Annals of botany