研究課題
若手研究(B)
メダカは、XY/XX型の性決定機構を持ち、ゲノムシークエンスの完成、多くの近交系統が存在しているなど、変異体解析にも大変優れた実験動物である。申請者は、遺伝的性を外観で識別できる系統にolvas-GFPコンストラクト(生殖細胞をGFP蛍光で可視化できるベクター;基礎生物学研究所田中先生より分譲)を遺伝子導入してトランスジェニック系統を作製し、その系統の中でolvas-GFPコンストラクトの導入により遺伝的雌が雄へと性転換する遺伝子変異系統(性転換変異体)を見出していた。昨年度、この系統におけるホモ型雌10個体中に3個体が雄へと性転換していることが分かったため、この性転換雄(XX)と性転換していない雌(XX)とを交配して遺伝的雌(XX)集団を作製して性比を調べた。その結果、すべての個体が雌へと分化していた。さらに、この雌と性転換雄とを戻し交配した結果、やはりすべての個体が雌へと分化していた。このことから、この性転換変異体は、遺伝的要因にのみ支配されているわけではなく、何かの環境要因も影響しているのではないかと考えられた。次に、Sleeping Beautyトランスポゾンを用いた性転換変異系統の作製を試みた。その結果、遺伝的雌が雄へと性転換する遺伝子変異系統を1系統作製することに成功した。今後は、ホモ型個体のゲノムDNAをテンプレートに用い、ゲノムウオーキングPCRを行って原因遺伝子の単離及び解析を行う予定である。
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