研究課題
若手研究(B)
多剤排出トランスポーター群は構造的に関連性の乏しい多様な生体にとって異物となる化合物を排出する膜蛋白質群である。これは、古細菌からヒトの細菌に至るまで広く生物界に存在し、あらゆる細胞の持つ最も基本的な生体防御機構であると理解されている。AcrBは大腸菌で構成的に発現しているトランスポーターで、広い基質選択性を持ち、大腸菌の最も強力な排出トランスポーターであり、また薬剤自然抵抗性の主因としても知られている。我々はこの立体構造を2002年に解き、その後基質認識機構や、薬剤排出機構の解明を進める一方で、本助成のテーマであるこれらトランスポーターの発現を制御する転写制御因子の結晶化および構造解析を進めてきた。この転写因子は、細胞内に進入した薬剤を検地するセンサでもあり、多剤認識メカニズムについては、その制御対象であるトランスポーターと比較することは非常に興味深い。本年の研究成果として以下の項目を挙げる。1)AcrRの1.1Å分解能での超高分解能X腺結晶構造解析に成功した。(論文準備中)2)結晶標品からクロロホルム・メタノール法で脂質成分を抽出し、ガスクロマトグラフィーを用いたマス・スペクトログラフィー(GCマス)による分析により、抽出した脂溶性リガンドの定性を行った。その結果、いわゆる脂溶性物質の混合物として検出した。GCマスの解析結果として現れた脂溶性リガンドのうち、結晶構造中に見出された内因性基質の電子密度の形と部分的に合致するものもあり、今後より詳細なマス解析を行うと共に、バイオ・アッセイを行い、生物学的意味づけを行うことで生理的基質の同定を行う。また大腸菌を使って、内因性基質がいかなる原因で発生するのか?発生したその物質は細胞にとってどれほど有害なものか?それはどのような遺伝子群を高進させるか?いかなる種類のトランスポーターがその排除にあたるか。などを今後明らかにする。
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