研究課題/領域番号 |
17770106
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
柿崎 育子 弘前大学, 医学部, 助手 (80302024)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ヒアルロン酸 / 4-メチルウンベリフェロン / 合成阻害 / 線維化 |
研究概要 |
[目的] ヒアルロン酸は、癌の増殖や転移を促進し、血栓の形成や臓器の病的な線維化の過程で過剰に蓄積し、これらの病変の悪性化を促進する。本研究では、申請者らの研究グループにより発見され、その阻害機構を明らかにされたヒアルロン酸合成阻害剤4-メチルウンベリフェロン(MU)を用いた新しい治療法の開発を目指した基礎的な研究を行う。本年度は以下の知見を得た。 [結果] 1.MUのヒアルロン酸合成阻害機構に基づき、より効果的なヒアルロン酸合成阻害剤の探索を行った。種々のMU誘導体(水酸基やメチル基の数や位置の異なる誘導体)についての構造と阻害効果との関係を調べた結果、特にMUの水酸基が、ヒアルロン酸合成阻害に重要であることが明らかとなった 2.ヒアルロン酸合成阻害効果を示したMU誘導体は、ヒアルロン酸合成量の低下に伴い、癌細胞の接着能と浸潤能を低下させた。 3.ヌードマウスの皮下や腹腔に培養膵癌細胞を移植して膵癌モデルマウスを作製した。このマウスに、MU誘導体を投与した結果、癌の増殖と肝臓への遠隔転移が抑制され、マウスの生存日数は有意に引き延ばされた。 4.培養細胞や実験動物を用いてMU誘導体とMUの効果を比較した結果、はじめに発見されたMU(胆道系疾患改善薬として普及している)よりもMU誘導体の方が効果や毒性の点において特に優れているわけではなかった。従って、現時点では臨床応用にはMUが最も近いことが示された。 5.MUを各種培養細胞に作用させた結果、細胞層および培地中に分泌されるヒアルロン酸量の低下とともに細胞外マトリックスの各種線維性成分の低下が観察され、MUによる線維化の抑制が示唆された。
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