研究概要 |
小胞体から形成される輸送小胞は、COPIIコートと呼ばれるタンパク質複合体によって覆われていることからCOPII小胞と呼ばれる。COPIIコートは、小胞体膜上の輸送されるタンパク質が持つ輸送シグナルと特異的に結合し、この複合体が膜上で集合することにより、目的のタンパク質を選択的に取り込んだCOPII小胞が形成されると考えられている。COPIIコートと輸送されるタンパク質が結合するには、低分子量GTPaseであるSar1pが必要であり、昨年度までの研究により、Sar1pはGTPase活性により輸送されるタンパク質の輸送小胞への取り込みの選別を行っているということを明らかにしている。本年度は、このCOPII小胞形成反応を顕微鏡下において、人工脂質平面膜上に再現し、COPII小胞形成過程の1分子レベルでの可視化を行うためめ準備を行った。蛍光標識した輸送される基質タンパク質を人工脂質平面膜上に自然膜融合法によって再構成する手法を開発した。さらに、ここにCOPII小胞の形成に必要な可溶性因子、Sar1p, Sec23/24p, Sec13/31pを順に加えると、各因子の添加にともなって、蛍光標識した輸送される基質タンパク質(Bet1p-Cy3)の人工脂質平面膜上での2次元拡散が変化する様子が1分子レベルで計測できるようになった。また、Sar1p添加後、ここにCOPIIコートタンパク質(Sec23/24p, Sec13/31p)を添加すると、輸送される基質タンパク質の平面膜上での凝集を観察することが出来るまでに至っている
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