研究概要 |
IP3受容体結合タンパク質IRBITと、リン脂質代謝酵素PIPKとの相互作用に関し、以下の研究を行った。 (1)IRBITとPIPKIIγとの結合解析 ・COS-7細胞へ共発現して免疫沈降することにより、IRBITがPIPKのα,β,γいずれのサブタイプとも結合することを確認した。 ・マウス脳を用いた免疫沈降法によりIRBITとPIPKIIαがin vivoでも結合することを確認した。 ・IRBITの欠失変異体を作製し、免疫沈降法によりPIPKIIαとの結合領域を解析した。その結果、IRBITのN末領域にあるセリンに富む配列がPIPKIIαとの結合に必須であることが明らかになった。 ・IRBITのセリンに富む配列の部位特異的変異体とPIPKIIαとの結合を解析した結果、IRBITのSer 68とSer 71がPIPKIIαとの結合との結合に必須であることが明らかになった。Ser 68とSer 71ともリン酸化される部位であることから、PIPKIIαとの結合にはIRBITのリン酸化が必要である可能性が示唆された。 ・IRBITのホモログもPIPKと結合することが明らかとなった。 (2)IRBITによるPIPKIIαの酵素活性制御の解析 IRBITがPIPKIIαの酵素活性を制御する可能性をin vitroで解析した。組み換えIRBITを用いて、PIPKIIαのPIP_2合成酵素活性をlipid kinase assayで測定した結果、IRBITはPIPKIIαの活性を抑制することが明らかとなった。さらにSer 68あるいはSer 71の部位特異的変異体は抑制活性が低下していることが明らかとなった。
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