研究課題/領域番号 |
17770184
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
箕口 滋 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60322757)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ES細胞 / DNAメチル化 / レトロウイルス / ジーンサイレンシング / エピジェネティクス / 幹細胞 / MSCV / position effect variegation |
研究概要 |
(1)ES細胞におけるMSCVサイレンシングの安定性を制御する因子の同定 GFPをコードするMSCVベクターをES細胞に感染後3日目にGFP発現細胞をSingle Cell Sortingによって単離し数週間後に各クローンにおけるGFP発現をフローサイトメトリーによって解析すると、ほとんどのクローンがモザイクな発現パターンを示すことが分かった。このモザイク・クローンについて再度発現細胞と非発現細胞をSortingにより分離すると、クローンごとに異なった速度で非発現細胞から発現を再開する細胞が出現した。このようなクローン間のサイレンシングの安定性の差異を制御する因子についてRNA干渉法を用いて探索を行った結果、不安定なサイレンシングを示すクローンで特異的にDnmt3Lがサイレンシング状態の維持に必要なことが明らかとなった。 (2)Dnmt3Lのプロウイルス維持メチル化への関与 野生型ES細胞においてMSCVのサイレンシングはプロウイルスのDNAメチル化と極めて高い相関があることが知られ、また不安定なサイレンシングを示すMSCVクローンにおいてもサイレンシングとメチル化には高い相関があることが見い出されたので、このようなプロウイルスクローンの維持メチル化制御へのDnmt3Lの関与について検討を加えた。RNA干渉法を用いてDnmt3Lを一過性にノックダウンすると短時間でプロウイルスの一部が脱メチル化されることからDnmt3Lはメチル化状態の正確な維持に必要であると推測された。これまでの報告ではDnmt3LはDNAメチル化模様の維持よりもむしろその確立に寄与すると考えられてきたので、ここで見い出されたMSCVにおける維持メチル化への関与は、この分子の新たな機能の存在を示唆するものである。実際、メチル化模様の確立を担うDnmt3aおよびDnmt3bのノックダウンはDnmt3Lとは異なった作用様式を示すことからも、この可能性は強く示唆された。 (3)研究全体の総括 本研究課題においてES細胞におけるDNAメチル化の安定性制御に関わる因子としてDnmt3Lを同定した。その作用機序の詳細な解析を通じて、Dnmt3Lの維持メチル化への関与の可能性を見い出し、Dnmt3Lの生理的機能について新たなモデルを提案することが出来た。
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