研究概要 |
都市計画において,多重多様な市民の合意形成を効率的に推進することは,きわめて重要な課題である。合意形成の段階では多数の人々を対象とした多様な側面からの評価と議論が必要である。そのため,情報の公開や議論の透明性を支援できるシステム,また,市民によって提案された計画案を即時的に公開し,多数の人から評価しうるインタラクティブな評価システムが必要である。そこで,本研究では,第一に,Web3Dテクノロジーの一つであるVRML (Virtual Reality Modeling Language)を用いて、地形,建物,植物からなる景観を簡単に可視化し,シミュレーションした画像の中をリアルタイムで歩く疑似体験(Walk Through Simulation)が可能な景観可視化システム"Town Maker"の開発を行った。なお,汎用的な景観設計のためのCADシステムとしても使用できるように、GUI (Graphical User Interface)機能を付加したより使い易い景観可視化システム"VR-TERRAIN GUI"の開発を行った。第二に,VRMLとCGI (Common Gateway Interface)スクリプトなどのWebテクノロジーを利用し,より進歩した景観可視化・評価システムとして,インターネット上で市民が計画案を簡単に修正し,3次元CGで提示できるインタラクティブな景観可視化・評価システムを開発した。なお,松戸市駅前を対象地として,開発したシステムで景観可視化・評価用ページを作成し,その動作を確認した。第三に,開発したVR-TERRAIN GUIによる景観可視化システムの実用性を確かめるため,実際に景観づくり方針の検討が行われている東京都江戸川区一之江境川親水公園沿線を,研究対象地として約12ha (262m x 455m)をシミュレーションした。その画像を懇談会で建物の高さ・地区の範囲検討に用いた。なお,懇談会の参加者19名を対象にシミュレーション画像に対するアンケートを行った。その結果,74%以上が,VR-TERRAIN GUIによるシミュレーション画像による説明がわかりやすいと答えた。今回は,インターネット上での景観評価は行えなかったが,本研究で開発したVR-TERRAIN GUIで作成したVRMLシミュレーション画像は,まちづくりの意見交換において有効に使用できる手法であることを確かめた。
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