研究概要 |
キキョウシステインプロテアーゼ(CPase)遺伝子として,PgCP1に加え新規にPgCP2を単離した.両遺伝子の花弁自然老化時の発現様式を比較したうえで,プロモーター領域の解析および推定される発現制御要因の検証を行った. 1.PgCP2の単離 開花時花弁の全RNAからPgCP1とは異なるcDNAクローンPgCP2(1,316bp,アクセッション番号AB363729)を単離した.PgCP2の推定アミノ酸配列は他植物由来のaleurain様CPaseと高い相同性を示し,PgCP2がPgCP1とは異なる種類のCPaseであることが明らかになった. 2.自然老化時の花弁におけるPgCP1とPgCP2の発現様式の比較 開花から自然老化に至る各段階の花弁において両遺伝子の発現様式を比較した.PgCP1が開花直後から老化開始直前まで著しく発現増加する一方,PgCP2は開花前の発現レベルを維持し,両遺伝子の発現様式に大きな差異があることが明らかとなった. 3.PgCP1とPgCP2プロモーター領域の解析および発現制御要因の検証 PgCP1の5'上流領域には特徴的なcis制御因子としてエチレン応答因子(ERE)が見出された.一方,PgCP2についてはEREは見られなかった.PgCP1は花弁において外生エチレンにより発現増加したがPgCP2はエチレン反応性を示さなかった.PgCP1の5'上流領域には糖応答に関わる因子も複数種類発見された.PgCP2の5'側上流領域には乾燥応答に関わる複数種類の因子が見出された. 以上より,花弁においてCPase遺伝子PgCPIとPgCP2が異なる発現動態を示すことが見出され,異なる複数の要因が両遺伝子を別個に発現制御する可能性が示された.
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