研究概要 |
降雪-積雪過程における降雪遮断や樹冠貯留は,水収支に影響を与えるだけではなく,森林-大気間の熱交換特性を大きく変化させることが指摘されている。しかし,屋外での精密な測定の困難さなどから,降雪の樹冠貯留、降雪遮断特性に関する研究は限られている。そこで,本研究では現地観測を実施するとともに,人工気象室での降雪貯留実験を行い,その特性を理解するとともにモデル化に向けての基礎情報の集積を行い,北方林での森林冠雪量の精密な把握を可能とするモデルを構築した。 研究は人工降雪実験により樹体冠雪モデルを植物体の面積でパラメータ化し,冠雪モデルを構築して,実際の人工林での冠雪量の観測結果に適用し,その有効性を検証した。その成果は,Suzukietal。(2008)Boreal Environment Researchとして出版中である。 将来,本サブモデルを陸面過程モデルや気候モデルに組み込むことにより,森林群落における気候変動予測が向上されることが期待される。 また,上記のモデル・パラメータを用いたモデル・シミュレーションを行い,本研究で得られたパラメータが適当である事を現地観測データと衛星による積雪プロダクトとの比較により確認した。今後は,衛星観測データと放射伝達モデルの利用により,森林冠雪量の分離に関するアルゴリズム開発に研究を発展させて行く予定である。
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