研究課題/領域番号 |
17780138
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林産科学・木質工学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松下 泰幸 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (60335015)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | バイオマス / リグニン / 木質 / 糖化 / 硫酸 / 機能性物質 |
研究概要 |
バイオマスは再生可能な資源であることに加え、カーボンニュートラルという特徴を持つことから、バイオマスの利用は地球温暖化ガスの排出削減に大きく貢献することが考えられている。木質系資源はその存在量からバイオマス利活用の中心を担うものとして期待されているが、経済性などの問題から、間伐剤・被害木を含む林地残材や建築廃材などの利用が十分でない。これら木質系廃材の化学的高度利用には酸加水分解法による糖化・醗酵によるエタノール生産が有効な手段であるが、副産物として多量に産出する酸加水分解リグニンの有効な利用方法がない。しかしながら、酸加水分解リグニンはフェノール性の高分子であることから、効率的な化学変換により、高付加価値の製品を生み出すことが可能であり、さらに、酸加水分解糖化法は「エネルギー利活用」だけでなく「製品利活用」にも有効な手段となり得る。 前年度は、硫酸を用いて得られた酸加水分解したリグニン(硫酸リグニン;SAL)をフェノールと反応させることにより、反応性の高い高分子へと変換しうることが分かり、アニオン性およびカチオン性の水溶性高分子やイオン交換樹脂に変換することに成功した。本年度は、広葉樹と針葉樹との反応性の違いについて調べた。ブナのSALはアカマツのものと比べて容易にフェノールと反応し、高い割合で可溶性フェノール化硫酸リグニンを生成した。フェノール化におけるシリンギル核とグアイアシル核との反応性の違いを調べるため、ブナからシリンギル核リッチのSAL(S-rich-SAL)およびグアイアシル核リッチのSAL(G-rich-SAL)を調製し、各々をフェノール化に供した。その結果、S-rich-SALの反応性がG-rich-SALよりも高く、S-rich-SALは、より少ないフェノール導入量で可溶性フェノール化硫酸リグニンに変換されることが分かった。モデル化合物による検討結果も、上記検討結果を支持した。
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