研究概要 |
前年度までに、木材腐朽菌の中で特に家屋に重大な影響を及ぼすと思われる、Serpula lacrymans, Coniophora puteana, Gloeophyllum sepiarium, G.trabeum,Trametes versicolorの6種について、それぞれの種を検出するためのプライマーを開発した。担子菌において種の同定に頻用されるリボソームのITS領域より、種に特異的な配列をもとに検出対象種でのみPCR増幅される種特異的プライマーを設計した。本年度はこれら種特異的プライマーを用いた定量PCRを行い、量的な検出および生物量評価法の開発を試みた。PCR反応を通して増幅されていくDNA量をモニターすることで鋳型DNA量を評価することができる定量PCR(リアルタイムPCR)において、開発して種特異的プライマーの増幅効率をユニバーサルプライマーによる増幅効率と比較し、定量性を評価した。検出対象種のゲノムに対する種特異的プライマーを用いた増幅効率は、ユニバーサルプライマーの増幅効率と一致したことから、種特異的プライマーを用いた定量的検出が可能であることが示された。また、プラスミドにクローニングしたITS断片をスタンダードの鋳型として用いることで、各腐朽菌の生物量を評価できることが明らかとなった。また、定量PCRを用いてプライマーの増幅効率を評価することができることが明らかとなった。この技術により種特異的プライマー開発において、その増幅効率を数値的に評価できることが示された。
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