研究概要 |
本研究の課題は,地産地消産品に対する地域の消費者の選好を定性的,定量的に把握し,地産地消産品のマーケティング戦略を立案することである. 本年は昨年度に引き続き,地産地消産品の取扱先として有望な道の駅でのマーケティング調査を実施した.道の駅は地域の物的・人的交流拠点として重要であり,また,立地特性や地域特性がその利用者動向に影響を与える.そこで,都市近郊生活国道沿いに立地し,観光客よりも地元利用客が多いと予測される道の駅を取り上げ,昨年度までの調査と比較しながら,立地特性,地域特性と利用者動向との関連性を定量的に分析した. その結果,都市近郊型道の駅では,予想通り地元客の利用が多く,滞在時間が短い傾向が見られた.このため,休憩・トイレ,食事の利用が少ない一方,農産物直売所の利用が多いことが明らかとなった.また,この道の駅を行程の主目的としている利用客の割合が多かった.提供コンセプトとして,地元利用が多いため便利さと親切さをより求める利用客が多いという点もわかった. 地元産品の販売促進という点からは,都市近郊型道の駅では農産物直売所,観光ルート型道の駅では食事への地元産品の提供が有利である.また,地産地消という観点からは,都市近郊型道の駅での農産物直売所が主要な販売ルートとなるといえる. 以上の点は以前の調査から得られた一般的な道の駅における地元住民の動向と性格を同じくしており,本研究により,地産地消の観点から,地元住民を主要なターゲットとし,農産物直売所の運営を主体とした都市近郊型道の駅という新たな展開方向を示すことができた.
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