研究概要 |
本研究は,明期開始前後の光照射方法を検討し,気孔の応答と光合成速度の観点から明らかにすることを目的としている。19年度は植物工場で多く栽培されているサラダ菜(Lactuca sativa L.)を光,温度,湿度の制御可能な照明付きインキュベータ内で成育して計測を行った。この中に,17年度購入した超小型炭酸ガス分析計(LICOR社製LI-820)と自作のリーフチャンバを組み合わせて,光合成速度としてCO_2固定量を計測し,18年度の結果をふまえて間欠照明利用のさらなる最適化を図った結果,以下の知見を得た。 1.照明点灯直後の光合成速度には光を入力とした時間的遅れが生じることから,最初は光量を小さくして段階的に上げていく方法を検討した。 2.まず,光量の最大値を100%として,50%で点灯し光合成が落ち着いた所で100%とした。その結果,点灯直後の光合成速度の変化(立ち上がりとする).は急であるが,光量に応じた光合成量の辺りでは緩やかとなった。これは,昨年度の結果の光に対する立ち上がりが過渡応答1次遅れ系で近似できると一致した。また,100%に変化させた時の立ち上がりも同様であった。 3.そこで,光量を変化を10%ずつ10段階としたときの立ち上がりを計測した所,変化の急な所だけを組み合わせて直線的に光合成量を増加させられることが分かった。 4.これらをふまえて昨年度の結果である明期暗期の比を1:1とする間欠照明と同等の光合成量が得られるような照明条件を検討した所,光量を変化させながら20minの明期,5minの暗期とすればよいことが分かり,照明コストの34%が削減出来ることが分かった。
|