研究課題/領域番号 |
17780213
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岸上 哲士 独立行政法人理化学研究所, ゲノム・リプログラミング研究チーム, 研究員 (10291064)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 顕微受精 / リプログラミング / DNAメチレーション / 精子細胞 / 体細胞クローン |
研究概要 |
本研究課題は、受精におけるリプログラミングの制御機構の解明を目指し、円形精子細胞由来父性ゲノムが精子由来のそれと異なり高メチル化状態になる分子機構と発生に関する解析を行ってきた。平成17年度の研究からその高メチル化がピストンの修飾の違いによることが示唆された。同時にその異常な高メチル化がピストン脱アセチル化酵素の阻害剤であるtrichostatin A(TSA)により抑制されることを見出した。平成18年度では高メチル化ゲノムの発生への影響を調べるため、胚のTSA処理により高メチル化を抑制した場合の胚の着床前と後の発生能の検討を行った。その結果、円形精子細胞により受精させた胚をTSAで48時間処理した場合、有意差はないものの試験管内及び胚移植後の発生の向上が見られ、高メチル化が円形精子細胞由来胚の発生阻害に関与していることが示唆された。さらにこのTSA処理法の技術を同様にゲノムDNAの高メチル化が報告されている体細胞クローン胚に応用したところその発生能が有意に向上し、従来のクローンマウス出産率を約6倍に改善することに成功した。これらの結果から、受精後1細胞期のDNAのメチル化やピストンのアセチル化を含むリプログラミングがその後の発生に大きく影響することが明らかとなった。同時に、胚の化学処理によるリプログラミングの制御により体細胞クローンなど現在の人工繁殖技術を大きく向上させる可能性が示された。今後本研究で得られた知見をもとにTSAによる発生改善の分子機構の解明や他の試薬によるさらなるリプログラミング改善の技術の発展が期待される。
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